全国農業協同組合中央会(JA全中)の改革が行われます。
全国約700の地域農協に対するJA全中の監査・指導権を廃止し、
2019年3月末までに一般社団法人に転換することになります。
画一的な監査・指導は「農協の自主性を縛っている」とされ
全中の監査部門を切り離し、新たな監査法人を設立。
農協はこの監査法人か、一般の監査法人を自由に選べるようになるのです。
今は全国の農協に対してJA全中が頂点に立ち、指導力をふるいます。
先月の佐賀知事選挙での「農協票の力」などはわかり易い例です。
JA全中は規模の小さい兼業農家の利害を代弁してきました。
地域農協は全中に従ったほうが楽という暗黙の上意下達があり
今回の改革で、農協が農業の現場に足場を置いていない現状が変わろうとします。
農協が手掛ける金融は農業が中心というのが一般的なイメージですが
最近の実態はそうしたイメージとますますかけ離れてきています。
また、農業協同組合が大きく変わった点として、
農家以外の「准組合員」の増加が挙げられます
農家の減少とともに正組合員は減り続け、
2009年度には准組合員が初めて正組合員を上回り、
11年度には差が約50万人に広がりました。
農業協同組合に対する不満の声は農家の間で多くあります
今回1954年の中央会制度の導入後、約60年ぶりの抜本的な見直しです。
地域農協の経営の自由度を高めることで、
農家の所得向上につながるような創意工夫を促すのが狙いとされています。
安倍政権が目指す「強い農業」の実現には、
各農協の意識改革や政府の農業振興策が不可欠です。
農業の再生に向けて大きな役割を期待される地域農協の見本になりそうなのが
「農家のための農協」を掲げる福井県越前市の「JA越前たけふ」
品質の良いコメを農家から高値で買い取り、JAの上部組織を通さずに自ら販路を開拓したり、
肥料もメーカーと共同開発してコストを下げたりするなど
独自の取り組みで農家の所得を底上げしてきました。
「JA越前たけふ」の取り組みは、JAグループ内で「異端」と受け止められ、
上部組織から会合の案内が来なくなるなどの「嫌がらせ」を受けてきました。
全国から視察に訪れた農協関係者も「非公式」の訪問であることを強調し、
「名前が出るのは困る」と取材に対しても農協名を伏せるよう要請したくらいです。
「JA越前たけふ」の冨田隆組合長は、
「法令を守っている限りどこが監査しても同じこと。
必要なのはJAグループ内でぬるま湯につかっていた地域農協の意識改革で、
今回の改革はそのきっかけになる」語たります。
その一方で、小規模農協にとって試練でもあり「自立」は厳しいのも現実です。
「強い農業」を目指すには「ぬるま湯の農家は淘汰される」ことになります。
私は「林業も同じ」だと感じています。
「各地の木材協会」「森林組合」の組織を変えることで強い林業が復活すると思います。
近い将来そのような時代が来ると感じています。
政府は今国会に農協法の改正案を提出します。