建物の寿命はどのくらいか。
国土交通省がこれまで公表してきた資料によれば、
木造住宅の寿命は27年ないしは30年、
マンション(RC/鉄筋コンクリート造)は37年としています。
ところがこうした数字は、
取り壊された建物の築年数であったり、
新築数を取り壊し数で除した数字であったりして、
実態を反映した正確な数字ではないようです。
例えば「寿命27年」の根拠とは、
実は「取り壊した住宅の平均築年数」です。
税務署が作成する「固定資産税台帳」をみて、
取り壊された建物の築年数を調べたもの。
つまり現実には、
築40年、50年経過しても十分に使用できる建物も多く、こ
れが建物の寿命を表しているとは全くいえません。
次に「寿命30年」の根拠。
これは
「ストック(現存する住宅)数をフロー(新築)数で割ったもの」で、
「サイクル年数」という概念を使い、便宜的に求めたもの。
これも木造住宅の寿命を正確に表しているわけではありません。
では実際にはどのくらいか。
早稲田大学理工学術院の小松幸夫教授らが行った
人間の平均寿命を推計するのと同様の手法を採用して
算出した木造住宅の平均寿命は64年としているます。
私の感覚では64年とは現在で考えると昭和25年の木造住宅
それはないと思います。
確しかに30年、昭和60年の木造住宅は嘘でしょう。
地域差は大きくありますが
「今の住宅は40年くらいで解体している」のではないでしょうか?
これからの国の施策・消費者意識・中古住宅の見直しなどから
今後はもっと寿命が延びることになると思います。
適切な点検や修繕を行う慣習がなかった
これまでの状況でこの寿命なのですから
所有者が意識するだけで格段に寿命は延びるはずです。
「新築だから安心」ではなく、
「きちんとメンテナンスされた中古住宅こそ安心」という時代が
日本にも訪れつつあるようです。